3代目です。
日本全国、いよいよ本格的に寒くなってきましたね。
なにかと気ぜわしい年末です。どうか皆さんお体ご自愛の上お過ごしくださいませ。

3代目は今週の火曜日・水曜日で福井県に行ってまいりました。

誰と一緒に?と言いますと59kimono(新名称)プロジェクトのメンバーさん達と一緒にです。
今までは5−9きもの(ごっきゅう)と呼んでいましたが今年度から名称が変更となりました。

今年で7年目の59kimonoプロジェクトは「着る人目線」で「怖くない(笑)」全国の着物小売店さんを集め、オリジナルの夏着物を作ろうと京都の藤井絞さんや博多の西村織物さんのようなメーカーさんに協力いただき、物作りの勉強をしながら小売店同士の交流もはかり情報交換などもしようと言う目的で集まっております。もともとは月間アレコレさんという着物情報誌の6−9きものから来ています。

詳しくは59kimono公式ホームページで。

その59メンバーで1年に一度は仲間のお店と産地見学をしようと言うことになっているので、今年は福井の「きものもたはん」さんと裏地や織物メーカーさんの視察へ行くことになりました。ちなみに当店の愛知ツアーも過去に開催して頂きましたよ。

行きは藤井絞さんが京都に宮城県気仙沼のたかはしきもの工房の高橋和枝さんと東京目白の花想容の中野さんがいらっしゃっているので、私たちは車で福井に向かう予定ですがあづまやさんも一緒にどうですか?とお誘いいただいたので是非ともとご一緒させていただくことにしました。


この顔ぶれ、よく考えてみるとすごいメンバーですね。私はしょぼいですがw
(東京キモノショー・きものサローネの主催側の人間)

ニュースでは今年いちばんの寒波到来

我々を福井の前に待ち構えていたのは、写真の通り雪!です。福井に入る手前までは快晴でしたが、福井の手前でいきなりの大雪。藤井さんの上手な運転のおかげで無事に福井へ到着することができました。
雪で渋滞したおかげで車内での会話はお金を払っても聞けないある意味すごい内容でした(笑

今回の福井行きの主役

59kimonoメンバーで福井県の着物屋さん「きものもたはん」の酒井康輔さん!
(以下酒井くん、くん付でごめんなさい!仲良いから許してね!)
2日間、渾身的にアテンドくださりありがとうございました!

初日の視察場所「小杉織物株式会社」さんにて、工場内の様子はさすがに載せられませんが、ここは主にポリエステルの帯をメインに織っている工場でした。驚いたのがその規模感。
いただいたパンフレットによると浴衣帯が国内シェアの約9割の生産を誇ると言われている通り、物凄い大きさの工場でした。
通常、織元さんというと昔からやっている家内工業的なところが圧倒的に多いのですが小杉さんの会社は大規模な工場というような感じの規模感でした。
社長さんの話ではマーケティングから企画立案、生産、品質管理、パッケージされた状態での出荷まですべて自社で行なっているとのことでした。
お若い社員さんが多く、大量生産による徹底的なコストダウンだけでなく、デザインや使用用途に特化した魅力的な帯が多かったです。当店の目指している三河木綿プロジェクトとは完全に相対する位置付けでありますのである意味本当に参考になりました。

次に伺ったのは、皆さんもご存知あづまやでも沢山取り扱っています裏地メーカー「浅見株式会社」の福井工場です。
浅見さんは以前、当店のあづまやてれびじょんにも出演くださっているので是非ともそちらのアーカイブもご覧ください。私は京都の販売店には何度も足を運んだことがあるのですが、福井の工場へは初めて伺いました。
本当に真面目で真摯な社長さんですので、しっかりしたお仕事をしていると想像はしていましたが、やはり実際の工程を見させて頂き納得でした。今までの着物業界では同じ染色工場内でも完全に分業制で、染める人は染めるだけはずっとやり続け、整理する人は整理するだけなどとその人がいなくなったらどうするの状態が多いのですが、ここでは全ての社員が一通りの作業を経験させているとのことで、誰かに何かがあってもいきなり仕事が止まることがないそうです。
これは奇しくも後から紹介する私たちが宿泊した「グランディア芳泉」の専務さんの講義を聞いたときにも聞いた言葉でした。

詰め込んだ初日最後の視察は「森川レース」さんです。
直接着物業界とは関係がなかった会社さんですが、皆さんも持っていらっしゃる方がいらっしゃると思いますが、最近レースの羽織が着物業界でも流行っていますよね?レースの生地を織っている会社さんにお話を伺いました。
世界のレース業界は完全に中国が引っ張っているとのことで、森川さんの工場も昨年新しく移転拡大したばかりの新しい工場でしたが入っている織機は中国製の最新織機だそうです。
ではそこで日本らしい、森川さんらしいところはどこですか?とお聞きすると、「天然素材」にこだわり本物の肌感を信じて挑戦していらっしゃるとのことで、小さい企業でも新しい流れに逆らわずにそれを認めつつ個性を出すことによって継続出来るんだと感じました。

長い1日の疲れを癒すべく?59メンバーで一緒に温泉旅館で宿泊。
ここを選んだのは藤井さん。こちらの「グランディア芳泉」さんの経営改革の話が日経ビジネスに紹介されていてとても参考になったとの事で、酒井くんにお願いしてグランディア芳泉の山口専務のお話を聞かせていただける機会をセッティングして頂きました。泊まったお部屋(別邸 個止吹気亭)も素晴らしく個室に露天風呂が付いていました。
59メンバーはみんな忙しい人ばかりなので普段ゆっくり話もできませんが、今回は宴会後に男性の部屋に全員集まって夜まで語り明かしました。飲み過ぎで寝ちゃう人もいたり、真夜中に露天風呂でまた語りあったりと、たまには本音で同業者同士で話すことってとても大事な事だといつも思います。ちなみに今回は花想容の中野さんとなぜかお風呂のタイミングが一緒でずっとお話させて頂けることができて嬉しかったです。

目から鱗の改革論を聞きました

特別に会議室を用意くださり山口専務から老舗旅館で決断された大改革とその結果、そしてこの先の事をお聞きしました。
私たち呉服業界にも置き換えられる話が多すぎでとても有意義で予定時間を1時間も超えてしまいました。
シンプルでわかりやすい考え方で僭越ながら私とまったく同じ考えの所が多かったのでとても共感しました。


最終日の朝は59メンバー「きものもたはん」の酒井くんのお店に。
昨年改装されたようで、とても新しくそして素敵なデザインのお店でした!
メンバー一同「素敵な店だね〜」を連呼。もともとあった蔵を改装してお店の売り場にしている場所などは古き良きを生かしていたりしてとても共感できました。
福井近辺の皆さん、もたはんさんは入りやすく綺麗で素敵な店ですよ。なにより酒井くんの人柄は誰にも好かれて真面目で誠実、でも熱い思いも持ち合わせている私が将来を期待する若手経営者です!(私には期待されたくないかもですが、、汗)


昼食には福井県では有名な「ソースカツ丼」のお店に行って食事して皆さん解散となりました。
でも私はどうしても酒井くんに連れてって頂きたい場所があり、私だけ特別に「鯖江のメガネミュージアム鯖江のメガネミュージアム」に連れて行ってもらいました。
私は高校卒業後、すぐにメガネを掛けてずっと今まで暮らして来たのですが、恥ずかしながら35歳くらいまで、日本のメガネの産地が鯖江にある事を知りませんでした。TVの特集か何かを見たのがきっかけで世界に誇れる素晴らしいメガネメーカーが鯖江に集まっていると知り、それ以来鯖江のメガネをいつか買いたいと思うようになったのです。

この機会を逃したら次はいつになるかと思っていたので、酒井くんに思い切って「お願い連れてって!」と直訴し夢が叶いました!
何を買ったかは放送などで言うかと思いますのでお楽しみに。
でもびっくりしたのは、メガネミュージアムの店員さんからも「もしかしてYouTubeのあづまやさんですか?」と聞かれた事です。
ここでもかっ!と思わずびっくりしちゃいました。どうやら鯖江市にある呉服屋さんの女将さんが私のネット放送を見てくださっているようです。ありがたいことでした。

帰りは鯖江から初めて乗車する特急はくたかで名古屋まで帰ることに。約2時間で行けるとわかったので福井は意外と近いと思いました。西尾からですと東京に行くのと同じくらいのイメージですね。

とにかく、この二日間は笑いあり涙?ありそしてなにより勉強になった有意義な出張でした。

「きもの もたはん」の酒井くん、本当にありがとうございました!またお世話になります!(お世話してください!)