3代目です。
久しぶりの投稿です。

夏の普段着物の王様といえば麻の着物です。

何が良いかと言いますと、風が通るので汗をかいてもすぐに乾く=とても涼しい。

しかも長襦袢も麻にするとダブルで涼しい。実は半袖半ズボンで肌が露出している服より涼しいと感じます。

私の夏の必須アイテムです。

でも、、最近耳にするのは、、

「麻着物は洗ってはだめだと着物屋さんに聞きました」

え〜っと、、絶対とは言えませんが、麻着物を織っている織元さんも産地の方も、皆さん洗えるって言ってらっしゃいますし、、、
そもそも夏の普段着着物が普通に洗えないってそんなことありえますか?

なにより私は家庭で洗いまくっていますが何ともないですよ!

*といっても麻でも特殊な商品やちょっとは注意して欲しい点はあるのですが。←詳しくはお問い合わせください。

私の麻着物のシーズンはこんな感じです。

1、6月中旬頃、初おろし

2、2回ほど来たら(汗の量による)家庭で水洗いしてお手入れ

3、上記をシーズン中に繰り返す

4、シーズンオフになったら、次のシーズンの初おろしには「ピシッ」と着たいので、染抜き屋さんに出します。

上の写真は、先週京都で着用した、小千谷ちぢみの麻着物と長じゅばんを本日も洗っている画像です。

以下に

夏着物はなるべく早く洗うのが肝です。私は小柄で汗っかきさんではないので、少し時間が経っても大丈夫なのですが、汗っかきさんは大変です。

以下はお客様から何度も聞いたセリフです

「汗をたっぷりかいたまま、ハンガーに干していたら、、白い粉のようなものが噴いてきたんですけど。。もしや塩分?」

「その通りです!汗は塩分を含んでいるので、大量に汗をかくと乾くと塩が吹きます」

しかも悪いことにその塩分のせいで、着物の色が変色したり抜けちゃったりした経験がございます。

ですので、汗をかいたなぁ〜と思ったら、すぐに「水洗い」←これ肝心!をしてください。

通常の着物屋さんが言っている「丸洗い」っていうのでは汗は完全には落ちません。通常の丸洗いはドライクリーニングのため、水洗いでないと汗は落ちないんです。

もしご自身が洗う手間もないし、いつも綺麗に着たいとおっしゃる方はもちろんプロの悉皆屋さんに出されるのも間違いないですが、それも時間がかかってしまいます。

やはりご自身で家庭で水洗いするほうが私的にはオススメです。

ただし、家庭で洗う際に気をつける点その1は

当店ではお仕立て前にあらかじめ「水通し」という作業で反物を水に通し、縮ませてからお仕立てします。
もしかすると、洗えないと仰っているお店はその作業をせずにお仕立てをして縮んだりしたとクレームなどの経験があって、洗えないと言っておいたほうが無難だと思っているかもしれません。

もしかすると、お手持ちの着物は水通しせずに仕立てられている場合は水で洗うと縮む可能性もあります。

当店ではご家庭で洗える商品には必ず、自社にてこだわりの水通しをしております。

気をつける点その2、色移りのリスクもあります

上記の画像は、宮古上布(藍染)の着物です。見ていただければわかるように、水の色が緑色になっていますよね。

そうなんです、着物の場合、お洋服と違って自然染料で染められていたりして色落ちが当たり前になっている商品もございます。

浴衣なんかも意外と色が出やすい商品も多いので洗濯ネットに一緒に入れて洗ったりはご法度ですよ!

もし真っ白の長襦袢や白っぽい着物と一緒に洗うと、、、あらら、、、色移りしちゃった、、、こんな経験も沢山お聞きします。

ですので、私が手洗いを推奨する理由の一つは、色落ちがすぐに分かることです。

その場合は、一緒の水で洗わない、脱水も別々にかけるという事で簡単にリスクを回避できますよ。

詳しくは以下の当店のYouTubeのアーカイブをごらんください。

最後は日陰干しです。

写真は見にくいかもしれませんが、長い物干しのようなもので風通しの良い場所に日陰干しします。

着物ハンガーに干す方もいらっしゃるようですが、男物や裄の長い方ですと、ハンガーの端が足らないので袖幅の途中で折れ目が出来てシワになったりしますので、私は専用の物干し台をホームセンターなどの資材で作りました(笑

とにかく恐れず洗ってみてください!

普段着の着物は式服の着物と違って、基本的に自分一代で着るもの。

だから自分が気持ち良く、なにより気軽に着たいですよね。

私なんか、宮古上布でも越後上布でも自分で洗っちゃってますよ。皆さんの中には「え〜もったいない」「そんなの着物がかわいそう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、、、

でも、、よく考えて見てください。特に着物産地の方にとっては、どんどん着てもらって、どんどん消費してもらって、次を買いたいってなってもらわないと(笑

今までの着飾る着物の考えかたから、着なければ逆にもったいないし、着る喜びが失われて最後は着物ってどうなっちゃうんでしょうかね?

私はプロとして、皆さんに着用後のメリットデメリットも含めて、全部嘘偽りなく伝えていきたいと思いますので、どんどん着倒しますよ〜!