3代目です。
今も昔も着物屋の大事な仕事として着物のリフォームがあります。

今回はその中でも一番多い事例を紹介します。

洗い張りして着物から着物へ仕立て直し

ちょっとわかりにくい言葉ですよね。お洋服には絶対に使わない言葉だしおそらく洋服には仕立て直しをするという考えはほとんど無いですよね。

今回の事例はこちらも一番多い理由の

お祖母様の着物を自分のサイズへ仕立て直し

でした。

仕立て直しのタイミングは、以下のようにあります。

1、お祖母様やお母様が亡くなったりしてタンスの整理をしていううちに出てきた。その着物をどうにか生かしたく相談にお見えになる。

2、若い頃には全く興味のなかった着物をある程度の年代になって着物が着たくなったのでタンスの中を見たが、裏地が派手だったり、ご体型が変わってしまったりというのもあります。

3、どなたかに頂いたきっかけで自分サイズに仕立て直したい

4、普通にご自身がよく着る人がメンテナンスとして仕立て直す。

今回は1と2の理由が合わさったお客様のご希望によりお見立てしました。

まずは現物を見てチェックさせて頂きます。お電話やメールで良くお問い合わせを頂きますが、正直に申し上げて、現物を見ないことには詳細なお値段の見積もりも正確なサイズのお直しも出来る出来ないがわかりません。

今回は表地は少しだけ汚れがありましたが、裏地は以下の通り

この年代の方(今回はおよそ50年前の着物)の胴裏(裏地)は得てしてこうなっていることが多いです。カビが発生し黄ばんでいます。
こうなってしまうと洗っても落ちませんので、このまま我慢して着るか仕立て直すタイミングで裏を変えるかです。

また現物をみてもう一つ大事なことをチェックさせて頂きます。この年代の着物から古いものは必ず縫い糸が弱っているか確認させて頂きます。

今回の着物は案の定、縫い糸が弱っていて、少し強めに引っ張ったら簡単に縫い糸が解けてしまいました。
もしこのまま着用してお車に乗ったり電車で座ったりした場合、いつお尻の部分が裂けてしまうかわかりませんよね。

実際にそういう経験をしたお客様も何人もお見えになるので、いくら未着用の着物と言っても縫い糸の劣化はどうしようもありませんので、アンティークな着物を選んだり着る場合は、まずは強めに引っ張ってみる(かなりの力で)ことが重要です。
そんなに強く引っ張るのは怖いと思われるかもしれませんが、お尻にかかる圧力を想像してみてください。そんな簡単に解けてしまったら、そもそも着るための布で無いですよね。

と他にもチェックをするところは色々あるので、実際に現物を見せて頂かないと判断ができないということになります。

今回は、サイズも合わなかった(身長が8cmほど違う)身幅も細かった(ヒップサイズが大幅に違った)、縫い糸の劣化などがありましたので、部分的に治すのは不可能という判断で、洗い張り(着物を全部解いて洗うこと)をして、さらに裏地も変えて一から仕立て直すことに。

肝心のご予算は、、今回の場合は完全仕立て直しなので、裏地も全部含めて約5万円ほど掛かりました。

どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ!

以下の動画をご参考ください

#222 出張!きもの鑑定団 〜タンスの着物鑑定します〜

第123回 アンティーク着物の賢い選び方